相続放棄は実情ヤバイ!相続放棄のデメリット

場合によってはするしかない!でもそれ相当の覚悟が必要です!

意外と知らない「相続放棄」

全くスッキリしない相続放棄

相続によってはマイナスの財産が多くてどうしても相続放棄を選ばざるを得ない場合もあります。

相続放棄という制度はある意味でほとんどの方がご存じでしょう。

でも、実際の実情は経験者以外あまり知られていないかもしれません。

少しでも相続放棄の可能性がある方、もしくはご自身の相続として家族に相続放棄の選択をさせてしまう可能性のある方も、ぜひ、こちらの記事を一度お読みいただきたいと思います。

私はいらないと決めるのが相続放棄ではない!

相続人どうしの話し合いの中で「私はもういいから・・何もいりません」これを相続放棄だと考えている方も多いようなのですが、相続放棄はきちんと家庭裁判所で認定してもらわないと法的には認められません!

遺産分割協議の中で「私は何もいらない」、また「負債に関しては○○が払う」と決めて、遺産分割協議のうえで負債を追わないことになっていたとしても、債権者にとってはまだ「法定相続分」としての負債の請求権が残ることになります。

もちろん、遺産分割協議で負債の支払いを約束した方がきちんと対応していれば、ある意味で問題は表向きにはならないでしょう。

でもそれは相続人どうしの決め事の話でしかありません!

遺産分割協議は負債には効力がない!

家庭裁判所が認めた「相続放棄」ではなく、遺産分割協議での決め事は債権者には効力がありません。

つまり、相続人全員の実印が押された遺産分割協議書に全員の印鑑証明をそろえても、債権者は全ての相続人に対して負債を請求する権利が残ります。

きちんと家庭裁判所に個人として「相続放棄」を申請して認められた場合のみ債務が免除されます。

相続放棄は調べてもあまり出てこない!

実際には多くの矛盾があります

相続放棄は原則として「何一つ処分してはいけない」というのがあります。

建前としては当たり前なことなのですが、実際には生前の看病期があるでしょうから故人の自宅も整然とした「通常」の状態ではありませんし、お葬式を含む法事のあと片付けだってあるでしょう。

でも、原則「何一つ処分してはいけない」のです。

それはすでに相続を引き受けたことになってしまいますし

場合によっては「相続放棄」を却下されてしまうことにもなりかねません。

では、そもそも、どのように相続財産を把握すればいいのか?

荒れ果てた現状をどうすればよいのか?

机上の空論になりがち

相続放棄の現実は様々なケースがあります。

よくあるケースを上げるにも複雑すぎてとてもできません。

ベテランの弁護士やそれぞれの家庭裁判所でも詳細までは確実に意見が分かれることになります。

したがって、相続放棄について調べてもどうしても民法的な机上の空論になってしまいます。

相続放棄の基本

申請は本人が相続を知ってから3ヶ月以内に行う

申請は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に必要書類をそろえて「相続放棄申述書」とともに提出することになります。

多くの場合で状況が複雑で提出書類も変わってきますので弁護士や司法書士などの専門家に依頼する方がその後の様々な判断も相談できるので安心です。

ポイント!

債務は国が肩代わりしてくれる訳ではありません!
簡単に言えば「債務の免除」債権者にとっては「泣き寝入り」です!
ご自身の判断だけで相続放棄の手続きをするのはかなりのストレスになります!!

相続人が各個人で行う

相続放棄は原則、個人で行います。

もちろん、多くの場合は残されたご家族で相談されて、

専門家に依頼し、みなさんで手続きを進めるケースが殆どだと思いますが、

原則は一個人が判断して決めることができます。

相続放棄をすると相続関係上いなかったことになる

ここが重要なところです!

相続放棄をすると、相続関係上、その人は最初からいなかったことになります。

つまり、例えば、父(被相続人)で妻(配偶者)子どもがひとりだったとします、

最初の段階では相続の「第一順位」として、妻(配偶者)と子どもの2人が相続人になるのですが、妻(配偶者)と子どもの2人が相続放棄をしたとします。

相続問題はここでは何も終わりません!

その相続権はそのまま「第二順位」に移るのです。

相続権が第二・第三・・順位に移行する

上の例えの続きになりますが、妻(配偶者)と子どもの2人が相続放棄をすると、その相続権は「第二順位」の被相続人の両親に移ります。

そうです、そのマイナスの相続権がご両親のところに行くのです。

ご両親がすでにお亡くなりになっていたら、兄弟姉妹へと移っていきます。

全ての遺産の処理を含むマイナスの方が多い相続が、同居もしていなければ、場合によっては疎遠になっていた親族の方に移行することになります。

どのような状況であっても、戸籍上認められた法定相続人であれば次々に移っていくことになります!

ですから、ある意味で相続放棄は「個人」でするものですが、結局は全員が相続放棄するまでは負債も手続きも片付けも、そのままより遠くの親戚へと移行してしまうのです。

債権者もたまったものではない!

上でも少し書きましたが、相続放棄、簡単に言えば「泣き寝入り」になってしまうのです。

人の人生、マンガのようではありません!

債権者と聞くと立場の強い強者に聞こえてしまいますが、

実際のところは「家族・親族をも含めて故人を助けた命の恩人」でもある訳ですし、そういう善意の方であることの方が多いでしょう。

ですから、相続放棄にはそのままその裏側の人がいるのです。

相続放棄によって高齢のご両親や遠い親戚の方への連絡など・・・

債権者側としてもできればしたくありませんね。

さらに現実的にはもちろん「連帯保証人」への請求になります

こちらもまた胃が痛む話になってきます。

実際はほぼ100%で「連帯保証人」がおられると思います。

「連帯保証人にはなるな!」は人生の鉄則みたいなところがありますが、債権者と同様に人情で「買って出てくれた恩人」に間違いないはずです。

連帯保証人に相続放棄はできません。

相続財産管理人を選出してもらう

残った財産を換金してある程度でも返してほしい、これは当然な流れですが、相続放棄をして誰もいなくなってしまった場合、残された遺産は全て宙に浮いた状態になってしまいます(法人所有)、ですので本来相続人になる方がいたとしても事実上、何一つできない状況になってしまいます。

これはもちろん債権者に対して公平な状態を担保する意味でこうなってしまいます。

では、どうやってその後の売却などの手続きをするのか?

それは、家庭裁判所によって主に弁護士の「相続財産管理人」を選出してもらい、「相続財産管理人」によって遺産の売却、債権者への返済を取りまとめてもらうことになります。

しかしながら、それらの「相続財産管理人」への報酬や経費は、「相続財産管理人」を選出してくださいと申請した申請者が「予納金」という形で事前に家庭裁判所に収めることになっており、場合によっては100万円を超えるほどの予納金になることもあります。

また、その手続きは法的に決まっている部分だけでも1年以上かかります。

ですから、「相続財産管理人」を立てるというのは相続人の方も債権者の方も諦めてしまうケースが多いようです。

このような事情から宙に浮いた状態の「空き家」が多く存在するのが現状です。

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