当たり前ですが忘れがち!片手と両手

所有者から物件の売却や賃貸を受ける側と、お客さんから買いたい借りたい申し込みを受ける側

私が不動産屋で働いていたときは、正確に説明する意味でお客様へきちんとお話ししていましたが、ここを話したがらない不動産屋は多いです。

当たり前の話なのですが、元付業者と客付業者です。

不動産屋からすると仕入れ元もお客様

元付業者(依頼を受ける)

不動産会社が所有者から物件を委託され売りだす契約(賃貸で貸しだす契約)をします、この立場の業者(元付業者)が、募集広告を作り、法的に定められた不動産業者専用のインターネットサイト(レインズ)に物件情報を登録したり、一般ユーザー向けのインターネットに掲載したりと言った作業をします。

元付業者が7日以内に“法的に定められたインターネットサイトに掲載”することで全国の不動産業者と情報を共有、市場の公平性が担保される形となります。

これは売買や賃貸を依頼した所有者側にとって不動産業者が情報を他に出し渋るなどの行為を防ぐためです。

つまりは、極論、全国のどこの不動産屋でも全ての物件は扱えるということ、信頼している不動産屋の知り合いはいるけど、あそこは規模が小さいから・・(再度極論といいますが)それでもその方に任せることは可能です、元付業者から物件が遠方にある場合でも、近所の業者に内見用のカギを預けたりすることもあります。

客付業者(お客さんを探す)

次に、客付業者がそれらの情報を元にお客さんを探します。

良い物件があれば元付業者から不動産広告を送ってもらって・・

あたかも“ウチ”のお店の物件のように店頭やインターネット上に掲載します。

なぜ「あたかも」といいますと“ウチで申し込みをしてほしい”(それが仕事だ)からです。

ただ先ほど書きましたように、極論はどこの業者でも申し込みができる“公の情報”なんですね。

さらに加えると、実際は業者と業者(人と人)の話ですから、単純な好き嫌いで有利なところと不利なところがあるわけです。

良いお客さんが現れたら、元付業者に申込み書を提出し交渉がスタートします。

申し込みをすれば、元付業者も「申し込みが入っています」と他の業者に言てくれるようになるわけですね。

逆をいえばすでに申し込みが入っていて「すみません、決まっちゃったらしいんです」という流れになることもあります。

賃貸も基本的には同じ流れになります。

賃貸はシンプルなので、手数料の分配がその2つの業者間で行われますが、低いと50:50、場合によっては75:25、極端な場合は100:0、とその設定を変えて、決まりにくい物件にインセンティブを作るという形でよりスムーズな交渉が行われています。

100:0だと取り分も増えて嬉しいわけですが、反面なにかあるのかな?と予測することができて「100:0ですが、何かあるんですか?」と内々で聞いてみたりします。

もちろん逆もしかりで客付業者の手数料が0:100で“取り分がない”なんて場合も稀にあります。

情報を公に出さないことは違法になってしまいますので非常識とは言わないまでもこのようなこともあります。

そこで出てくるのが「両手」の契約

海外では禁止されているところもある

感の良い方ならもうお分かりだと思いますが、

自社で物件を受けて、自社でお客さんも付ける、

こうすることで元付と客付の両方の手数料を一社で独占することができます。

物件(そのものや広告)には元付業者の管理看板が着きますから、特に無理をしなくても管理看板を見たお客さんで両手になるケースは多いです。

でも、これでは元付業者が断然有利ですから、海外では“市場の公平性”という意味で「両手取引」を禁止しているところもあります。

しかし、日本は「両手取引」が合法で一般的に行われています。

敷金礼金ナシ!手数料ナシ!

賃貸でお部屋を借りるときにネックになるのが「敷金・礼金」です、地域性によってもガラッと変わってくるのですが、関東で昔から通用しているパターンは「2ヶ月・2ヶ月」、家賃の2ヶ月分が敷金(預り金)で家賃の2ヶ月分が礼金(建前上は大家さんへの謝礼金)。

6万円の家賃なら、24万円が保険や手数料、引っ越し費用などとは別で必要だという設定。

昭和の日本ならまだしも、結構キツイですよね?

そこで「両手」の物件の広告を自社の「ブランドイメージ」と絡めて派手に宣伝することで「片手」ではありえない宣伝文句を使用する会社が登場したわけです。

お分かりだとは思いますが、その会社なら“安い契約ができる”というよりも、その手前で掲げている不動産広告を自社のモノに絞っているというわけです。

大家さん側にこのやり方の了解を取っているからできる訳なのですね。

でも、他の業者は仕組みが分かっていて、外部から同じ物件を申し込んだら、お客さんが払う費用が多くなること(例外はあるでしょうが)になりますから、ある意味で客付けのチャンスが減ってしまうとも言えます。

客からは見えない部分

私なんかは見た目で「営業下手」な人間ですが・・

声質も良く、笑顔も自然で、カリスマ性もあって、しっかり稼ぐ・・

こういったタイプの営業マンは、当然のこととしてこういった“ウラ”を隠して(無いかのように振舞って)収入を最大化していると言っても間違いないでしょう。

ですが私のような「営業下手」なタイプは、裏の事情が表情に出てしまって、ある意味で不信感を与えてしまうのでしょう。

私の場合は、裏の裏まで良いと思える物件を紹介することで、月間のトップになれたこともありましたが。

物件も良いものばかりではありませんから・・

良いと取るか悪いと取るかはみなさん次第です。

こういった仕組みをどう生かすか?

できるなら両手の取引ができるようにする

買取や借りてくれる“相手”のことを一番に考えることが良いとするなら、

ポイントはもう可能な限り依頼した業者が両手の取引ができるように、こちらも初めからサポートしてしまうことではないでしょか?

“中間の業者の巧妙なな営業戦略に惑わされずに”シンプルかつダイレクトに最善を尽くせる体制作りが良いと言えます。

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